販促とプロモーションの違いとは?イベント担当者が知るべき成果に繋がる戦略立案のコツ
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「このイベントの目的は販促?それともプロモーション?」 会議でこんな疑問に直面したことはありませんか。「販促」と「プロモーション」の違いを曖昧にすると、「イベントは盛り上がったのに売上に繋がらない」といった失敗を招きがちです。 本記事では、イベント制作のプロが、両者の本質的な違いを分かりやすく解説。明日から使える具体的な手法から、成果に繋がる戦略の立て方まで、実践的なノウハウをお届けします。貴社のマーケティング活動を成功に導くヒントが、ここにあります。

監修 代表取締役 向山口冬威
"REIGETSU代表取締役。イベント制作・運営において18年の経験を持ち、国民的キャラクターIPを活用したイベントの企画・運営・台本制作・舞台演出・アクターを務めるほか、玩具メーカーの製品PRや法人向けワークショップの企画・制作・運営まで、多岐にわたるプロジェクトに携わってきました。 また、営業職を5年、通信キャリアのカスタマーサポート業務を3年ほど経験しており、多様な業界での知見を活かし、2019年に株式会社REIGETSUを設立。学歴やキャリアに縛られることなく、努力次第で誰もが活躍できる場を創りたいという想いから起業に至りました。"
目次
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「販促」と「プロモーション」、その違いを明確に説明できますか?
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【図解】販促とプロモーションの違いとは?担当者が押さえるべき本質的な差
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目的別!明日から使えるオンライン・オフライン販促手法
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・オンラインの販促手法
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・オフラインの販促手法【イベントのプロが解説】
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・オンラインとオフラインの融合(OMO)で効果を最大化する
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【4ステップで実践】成果に繋がる販促・プロモーション戦略の進め方
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・STEP1:目的(KGI/KPI)とターゲットを明確にする
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・STEP2:プロモーション全体の設計と予算配分
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・STEP3:具体的な施策の実行(Do)
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・STEP4:効果測定と分析・改善(Check & Action)
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まとめ:戦略的なプロモーションで、ビジネスを次のステージへ
「販促」と「プロモーション」、その違いを明確に説明できますか?
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「今回のイベント、販促目標はどうする?」 「この施策はプロモーションの一環として整理しよう」
企業のマーケティング担当者、特にイベント担当者であれば、このような会話は日常茶飯事ではないでしょうか。しかし、「販促(販売促進)」と「プロモーション」という言葉、似ているようで、実はその役割と目的は明確に異なります。
この違いを理解しないまま戦略を立てると、「イベントは盛り上がったのに売上に繋がらなかった」「広告費をかけたのにブランドイメージが向上しない」といった課題に直面しかねません。
本記事では、イベント制作のプロである株式会社REIGETSUが、企業のイベント担当者様に向けて、販促とプロモーションの本質的な違い、具体的な手法、そして成果を最大化するための戦略的な進め方を、豊富な実績に基づいて徹底解説します。
【図解】販促とプロモーションの違いとは?担当者が押さえるべき本質的な差
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販促とプロモーションは、どちらもマーケティング活動の一部ですが、その目的と範囲が異なります。プロモーションという大きな枠組みの中に、販促が含まれていると考えると理解しやすいでしょう。
プロモーションは、顧客とのあらゆるコミュニケーションを通じて、商品やサービスの価値を伝え、ブランド全体のイメージ向上や長期的な関係構築を目指す活動です。一方、販促は、そのプロモーション活動の一部であり、顧客の「今すぐ買いたい」という気持ちを刺激し、短期的な売上向上に直結させるための具体的な施策を指します。
プロモーションは「ブランドを育てる中長期的な活動」、販促は「"今すぐ"の購買を促す短期的な活動」と捉えると、その違いが明確になります。
【プロモーション(Promotion)とは?】
- 目的:ブランド認知度やイメージの向上、顧客との長期的な関係構築。
- 時間軸:中長期的(数ヶ月〜数年単位)。
- 活動範囲:広告、PR、イベント、販売促進などを含む、広範なコミュニケーション活動全体。
- 評価指標:ブランド認知度、Webサイトのアクセス数、SNSエンゲージメント率など。
- イベント例:ブランドの世界観を伝える新作発表会、業界の未来を語るカンファレンス。
【販促(Sales Promotion)とは?】
- 目的:短期的な売上向上、購買意欲の直接的な刺激。
- 時間軸:短期的(数日〜数週間単位)。
- 活動範囲:プロモーションの一部。クーポン、割引、サンプリングなど具体的な購入促進策。
- 評価指標:売上高、販売数量、来店客数、クーポン利用率など。
- イベント例:新規顧客獲得のための商品体験会、購入者限定の特別セミナー。
目的別!明日から使えるオンライン・オフライン販促手法
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販促の手法は、オンラインとオフラインに大別されます。重要なのは、ターゲット顧客の行動や目的に合わせて、これらの手法を単体ではなく、戦略的に組み合わせることです。
オンラインの販促手法
Web上で完結し、データに基づいた効果測定がしやすいのがオンライン販促の特徴です。ここでは代表的な4つの手法を、活用する際のポイントと共にご紹介します。
1. SNSキャンペーン:ユーザーを巻き込みファンにする
X(旧Twitter)でのフォロー&リポストキャンペーンや、Instagramでのハッシュタグ投稿キャンペーンが代表的です。ユーザーが参加することで情報が自然に拡散されるため、コストを抑えながら高い認知度向上が期待できます。
- 特徴:ユーザー参加型で拡散力が高い。ブランドや商品への親近感を醸成しやすい。
- こんな時におすすめ:新商品の認知度を一気に高めたい時。若年層向けの商品や、写真・動画で魅力が伝わる商材(コスメ、アパレル、食品など)を扱う場合。
- プロの視点:景品やプレゼントだけでなく、「参加することが楽しい」と思わせる企画が成功の鍵です。ブランドの世界観に合ったユニークなハッシュタグを考案し、UGC(ユーザー生成コンテンツ)を増やす仕掛けを作りましょう。
2. Web広告:届けたい相手にピンポイントでアプローチ
リスティング広告やSNS広告など、様々な種類があります。年齢・地域・興味関心などでターゲットを細かく設定し、自社の商品やサービスに関心を持ちそうな層へ直接メッセージを届けられるのが最大の強みです。
- 特徴:ターゲティング精度が高い。少額から始められ、費用対効果を測定しやすい。
- こんな時におすすめ:イベントの集客を短期間で行いたい時。ターゲット層が明確なBtoBサービスや、Webで情報収集する専門性の高い商材を扱う場合。
- プロの視点:広告のクリエイティブ(画像やテキスト)と、遷移先のランディングページ(LP)の内容を一貫させることが重要です。広告で「無料相談」を謳っているのに、LPでは分かりにくい、といったズレは離脱の原因になります。
3. ウェビナー:質の高い見込み客を育成する
オンライン上で開催するセミナーです。場所の制約なく参加者を募れるため、全国の見込み客にアプローチできます。参加者はそのテーマに強い関心を持っているため、商談につながりやすい質の高いリードを獲得できる傾向にあります。
- 特徴:見込み客(リード)の情報を獲得しやすい。専門性や信頼性を示せる。
- こんな時におすすめ:BtoB企業や高価格帯の商材を扱っており、機能や導入事例を詳しく解説する必要がある場合。
- プロの視点:一方的な説明で終わらせず、Q&Aセッションやアンケート、チャット機能を活用して双方向のコミュニケーションを心がけましょう。参加者の満足度が高まり、イベント後の個別相談にも繋がりやすくなります。
4. インフルエンサーマーケティング:第三者の声で信頼を勝ち取る
SNSなどで影響力を持つインフルエンサーに商品やサービスを紹介してもらう手法です。ファンから厚い信頼を得ている人物からの発信は、企業からの広告よりもユーザーに受け入れられやすいというメリットがあります。
- 特徴:信頼性が高く、購買に繋がりやすい。ターゲット層に自然な形でリーチできる。
- こんな時におすすめ:トレンドに敏感な層にアプローチしたい時。コスメやガジェットなど、実際の使用感が重視される商材を扱う場合。
- プロの視点:フォロワー数だけでなく、自身のブランドイメージとインフルエンサーの持つ世界観やファン層が合っているかを重視して人選を行いましょう。単なる商品紹介ではなく、インフルエンサー自身の言葉で正直な感想を語ってもらう「本音のレビュー」が、ユーザーの心を動かします。
オフラインの販促手法【イベントのプロが解説】
顧客と直接接点を持ち、商品の魅力やブランドの世界観を五感で伝えられるのがオフライン販促の最大の強みです。私たちイベントのプロが、それぞれの成功のコツを交えて解説します。
1. 展示会・見本市:質の高いリードを効率的に獲得する
多数の見込み客が自ら情報を求めて集まる展示会は、特にBtoB企業にとって絶好のビジネスチャンスです。ただ出展するだけではなく、戦略的な仕掛けで成果を最大化しましょう。
- 特徴:多くの見込み客と一度に接触できる。商談への意欲が高い来場者が多い。
- こんな時におすすめ:BtoB企業が新規顧客を開拓したい時。新技術や大型製品を多くの人に見てもらいたい場合。
- 成功の鍵:「足を止めさせる」仕掛けと「リードの質を見極める」工夫 ブース前を通りかかる人の足を止めるため、目を引くデザインはもちろん、定期的な実演デモやミニセミナーの開催が有効です。そして、名刺交換したリードを「今すぐ客」「見込み客」「情報収集客」などに分類する簡単なヒアリングシートを用意しておくと、その後の営業アプローチの効率が格段に上がります。
2. セミナー・カンファレンス:専門性を示し、顧客を育成する
専門的な情報提供を通じて、見込み客の育成(リードナーチャリング)や既存顧客のロイヤリティ向上を図る手法です。ブランドへの信頼を醸成する上で非常に効果的です。
- 特徴:専門性や権威性を示せる。顧客と深く、長期的な関係を築ける。
- こんな時におすすめ:コンサルティングやITサービスなど、専門知識やノウハウが価値となる商材を扱う場合。高価格帯の商材で、顧客の深い理解が必要な場合。
- 成功の鍵:「参加して良かった」と感じさせる双方向性と交流の場 一方的な講演だけでなく、参加者が主体的に関われるワークショップや、登壇者・参加者同士が気軽に話せる懇親会をプログラムに組み込みましょう。「有益な情報」に加えて「貴重な人脈」という付加価値を提供することで、参加者の満足度は飛躍的に高まります。
3. 店舗・店頭プロモーション(インストア):購買の最後のひと押し
POP、実演販売、サンプリングなど、購買決定の最終段階にいる顧客の背中を押す、非常に直接的な販促手法です。
- 特徴:購買意欲が最も高い瞬間にアプローチできる。商品の魅力を五感で伝えられる。
- こんな時におすすめ:スーパーや百貨店などで商品を販売する食品・飲料・化粧品メーカーなど。
- 成功の鍵:「つい手に取りたくなる」ライブ感とシズル感の演出 例えば食品の実演販売なら、美味しそうな音や香りを最大限に活かすことが重要です。また、時間帯によって客層が変わるため、ターゲットに合わせて「時短」や「自分へのご褒美」など、訴求メッセージを柔軟に変えることで、売上は大きく変わります。
4. 体験イベント・サンプリング:最高の「最初の出会い」を創出する
商品を実際に試してもらうことで、その良さを深く、直感的に理解してもらう手法です。特に、使ってみないと価値が伝わりにくい商材に有効です。
- 特徴:商品の価値をダイレクトに伝えられる。ポジティブな口コミやSNSでの拡散を促しやすい。
- こんな時におすすめ:食品、飲料、自動車、家電、化粧品など、実際に使ってみないと良さが伝わりにくい商材。
- 成功の鍵:SNSで「シェアしたくなる」体験設計 単に商品を渡すだけでなく、「楽しい体験」とセットで提供することがポイントです。例えば、ブランドロゴ入りの壁紙がおしゃれなフォトブースを設置したり、体験の様子をハッシュタグ付きで投稿してくれた方に特別なプレゼントを用意したりすることで、オンラインでの情報拡散へと繋げることができます。。
オンラインとオフラインの融合(OMO)で効果を最大化する
現代のマーケティングでは、オンラインとオフラインを分断して考えるのではなく、連携させて顧客体験を設計するOMO(Online Merges with Offline)の視点が不可欠です。
【OMO施策の成功例】
- 事前(Online): SNS広告やインフルエンサー投稿で新製品体験イベントを告知。特設サイトで事前予約を受け付け、期待感を醸成。
- 当日(Offline): イベント会場で製品を体験。会場限定のQRコードを読み込むと、後日使えるオンラインクーポンをプレゼント。ハッシュタグ投稿を促すフォトブースも設置。
- 事後(Online): イベント参加者にサンクスメールを配信し、オンラインストアへ誘導。当日の様子をまとめた動画を公開し、イベントに参加できなかった層にもアプローチ。
このように顧客の行動を一連の流れとして捉え、オンラインとオフラインの接点をスムーズに繋ぐことで、プロモーション効果は飛躍的に高まります。
【4ステップで実践】成果に繋がる販促・プロモーション戦略の進め方
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知識を得たところで、次はいよいよ実践です。以下の4ステップに沿って、貴社の戦略を具体化していきましょう。
STEP1:目的(KGI/KPI)とターゲットを明確にする
「誰に、何を伝え、どうなってほしいのか」を具体的に定義します。曖昧な目標は、曖昧な結果しか生みません。
- ターゲット設定: 年齢・性別といったデモグラフィック情報だけでなく、「〇〇に悩んでいる」「〇〇なライフスタイルを送っている」といった具体的な人物像(ペルソナ)まで描きましょう。
- KGI/KPI設定:
- KGI(重要目標達成指標): 最終的に達成したいゴール(例:半期での売上120%増、新規契約数50件)
- KPI(重要業績評価指標): KGI達成のための中間指標。具体的で測定可能な数値を設定します。
【KPI設定の具体例:新製品の展示会出展】
- KGI: 発売後3ヶ月で、新製品の売上目標5,000万円を達成する
- KPI:
- 展示会での名刺獲得数:500枚
- うち、商談化(アポイント獲得)数:50件(商談化率10%)
- 商談からの受注件数:10件(受注率20%)
- ブース前でのデモ視聴者数:1,000人
STEP2:プロモーション全体の設計と予算配分
STEP1で設定したターゲットとKPIに基づき、プロモーションの全体像を描きます。どの手法(広告、イベント、SNSなど)を、どのタイミングで、どのくらいの予算をかけて実施するのかを計画します。
【予算配分の考え方の例】
- 認知拡大期: Web広告やPRに予算を重点配分し、広くリーチする。
- 興味関心・比較検討期: ターゲットが集まる展示会への出展や、比較検討を促すウェビナーに予算を投入。
- 購入・リピート期: 購入を後押しするサンプリングキャンペーンや、顧客ロイヤリティを高める限定イベントに予算を配分。
STEP3:具体的な施策の実行(Do)
計画に基づき、各施策を実行します。特に複数の施策が絡み合うイベントプロモーションでは、抜け漏れのないプロジェクト管理が成功の鍵です。
【イベント準備のチェックリスト例】
- 会場・備品の確保
- 企画・コンテンツの具体化
- 制作物(Webサイト、チラシ、ノベルティ)のデザイン・発注
- 運営マニュアルの作成
- スタッフの役割分担と教育
- 集客活動(広告出稿、プレスリリース配信など)
- 当日のリハーサル
STEP4:効果測定と分析・改善(Check & Action)
「やりっぱなし」にしないことが最も重要です。STEP1で設定したKPIが達成できたか、必ず効果測定を行いましょう。
- 測定: イベントの来場者数、アンケート結果、商談化率、Webサイトのアクセス数、SNSでの言及数などを集計します。
- 分析: なぜその結果になったのか?(例:「デモの内容が分かりにくく、商談化率が低かった」「SNSでの事前告知が奏功し、想定以上の若年層が来場した」)
- 改善: 分析結果を元に、次回の施策を改善します。(例:「デモのシナリオを見直す」「次回は若年層向けコンテンツをさらに強化する」)
このPDCAサイクルを回し続けることで、プロモーションの精度は着実に高まっていきます。
まとめ:戦略的なプロモーションで、ビジネスを次のステージへ
本記事では、販促とプロモーションの違いから、具体的な手法、そして成果を出すための戦略的な進め方までを解説しました。
- プロモーションはブランド価値を高める中長期的な活動、販促は購買を促す短期的な施策。
- オンラインとオフラインの手法を連動させ、顧客体験を設計するOMOの視点が重要。
- 戦略立案は「目的・ターゲット設定→計画→実行→効果測定・改善」のサイクルを回すことが成功の鍵。
ここまで読んで、「考え方は理解できたが、自社だけで実行するのはリソースが足りない」「イベントとWebを組み合わせた複雑なプロモーションは、何から手をつければいいか分からない」と感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
特に、多くのステークホルダーが関わるイベントプロモーションは、企画からクリエイティブ制作、複雑な進行管理、そして効果測定まで、一貫した戦略と専門的なノウハウが成功を大きく左右します。
株式会社REIGETSUでは、クライアント様の課題に深く寄り添い、成果に繋がるイベントプロモーションをワンストップでご支援します。
- BtoB企業の展示会出展で、リードの質と量を最大化
- 顧客ロイヤリティを高めるセミナー・カンファレンスの企画・運営
- オンラインとオフラインを融合させたハイブリッドイベントの実績多数
- イベントと連動した映像制作、Webサイト制作、SNS運用までトータルでプロデュース
「何から相談していいかわからない」という段階でも全く問題ありません。貴社の課題や目的をヒアリングさせていただき、最適なプロモーション戦略をご提案いたします。まずはお気軽にご相談ください。


ライター 藤花しおん
金融、美容、旅行、グルメなど多分野で執筆。2016年からエンタメ系オウンドメディアに編集者として従事。