キャンペーン企画書の書き方|承認される企画のテンプレートとプロの着眼点
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キャンペーンの成功には、綿密な事前準備と説得力のある企画書が不可欠です。しかし、効果的なキャンペーン企画書を作成するには、いくつかのポイントを押さえる必要があります。 本記事ではキャンペーン企画書の重要性や目的、盛り込むべき構成要素、企画書作成のコツについて詳しく解説しています。 また成功事例から学ぶポイントや、複雑な要素が絡む大規模なキャンペーンを効率的に実施するための方法についても触れているので、効果的なキャンペーン企画書を作成し、マーケティング活動の成果を最大化するためのヒントが満載です。

監修 執行役員 新井寿光
REIGETSU執行役員。2008年にアーティストとしてメジャーデビューした経験があり、ステージの演出を得意としています。進行・運営ディレクターとしても豊富な経験を持ち、これまで大小さまざまなイベントを手がけてきました。進行ディレクターとしては、テクノロジーカンファレンスや大手企業の入社式、官公庁のシンポジウムなどで舞台監督を兼務。業界アワードや医療セミナーの進行も担当。運営ディレクターとしては、就職イベント、企業研修、展示会ブース運営などに携わり、数十名規模のセミナーから大規模エキスポまで幅広い運営を支えています。
目次
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その企画書、なぜ「承認されない」のでしょうか?
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企画書は「誰に」「何を伝え」「どう動いてほしいか」を明確に
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【完全版】人を動かす!キャンペーン企画書テンプレート8つの構成要素
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・1. 表紙・エグゼクティブサマリー
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・2. 企画背景と目的(WHY)
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・3. ターゲット(WHO)
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・4. キャンペーンコンセプト(WHAT)
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・5. 具体的な施策内容(HOW)
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・6. 実施体制・スケジュール
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・7. 予算・費用対効果(HOW MUCH)
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・8. KPI・効果測定方法
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まとめ:最高の設計図で、キャンペーンを成功に導こう
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・「企画の実行」フェーズでお困りではありませんか?
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その企画書、なぜ「承認されない」のでしょうか?
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「渾身のキャンペーン企画書を提出したのに、上司や役員から『よくわからない』『本当に効果あるの?』と突き返されてしまった…」
企業のイベント・マーケティング担当者の皆様なら、一度はこのような悔しい経験があるのではないでしょうか。
キャンペーンの成功は、企画書のクオリティに大きく左右されます。優れた企画書は、単なるアイデアメモではありません。それは、関係者全員の意思を統一し、プロジェクトを成功へと導く「設計図」であり、承認者から予算と協力を引き出すための「交渉ツール」です。
本記事では、数々のキャンペーンを成功に導いてきた私たちREIGETSUが、企画書の「なぜか通らない」を「すんなり通る」に変えるための、実践的なノウハウを余すところなくお伝えします。
一般的な解説にとどまらず、プロの視点、すぐに使える例文、具体的な数値や手順を盛り込みました。この記事を読めば、あなたの企画書は格段に説得力を増し、キャンペーン成功への確かな一歩となるはずです。
企画書は「誰に」「何を伝え」「どう動いてほしいか」を明確に
企画書を書き始める前に、最も重要なことがあります。それは「この企画書を、誰が、どんな状況で読み、読み終えた後に、どう動いてほしいのか」を徹底的にイメージすることです。
- 読み手は誰か?(直属の上司、マーケティング部長、役員、他部署の担当者?)
- 読み手の関心事は何か?(売上への貢献度、費用対効果、ブランドイメージ向上、業務負荷?)
- 最終的なゴールは何か?(企画の承認、予算の確保、他部署からの協力取り付け?)
例えば、役員向けであれば細かい施策内容よりも「なぜ今このキャンペーンが必要で、会社にどれだけの利益をもたらすのか」という経営的視点が重要です。一方、現場の協力部署向けであれば「いつまでに、誰が、何をすべきか」という具体的な実行計画が求められます。
この大前提がズレていると、どんなに素晴らしい企画も承認者の心には響きません。まずは、あなたの企画書の「読み手」と「ゴール」を紙に書き出してみてください。
【完全版】人を動かす!キャンペーン企画書テンプレート8つの構成要素
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ここからは、説得力のある企画書の「型」となる8つの構成要素を、「書くべきこと」「プロの着眼点」「【例文】」をセットで解説します。このテンプレートに沿って書くだけで、抜け漏れのない論理的な企画書が作成できます。
1. 表紙・エグゼクティブサマリー
【書くべきこと】
- 企画タイトル
- 提出日、提出先、作成部署・担当者名
- 企画全体の要約(A4一枚程度)
【プロの着眼点】 多忙な決裁者は、企画書を最後まで読んでくれない可能性があります。最初に「この企画を一言で言うと何か」「期待できる成果は何か」「必要な予算はいくらか」が分かるエグゼクティブサマリーを配置しましょう。ここで興味を引けるかどうかが、最初の関門です。
【例文:エグゼクティブサマリー】
企画概要: Z世代の認知度向上と新規顧客獲得を目的とした、新商品「カラフルソーダ」の発売記念SNSキャンペーン 目的: 発売後3ヶ月で、目標売上5,000万円に対し、本キャンペーン経由で20%(1,000万円)の売上貢献を目指す。 ターゲット: 流行に敏感な18歳~24歳の男女 コアアイデア: 「#〇〇な瞬間にカラフルソーダ」をテーマにした、ユーザー参加型のInstagramフォトコンテスト 実施期間: 2025年10月1日~12月31日 必要予算: 500万円
2. 企画背景と目的(WHY)
【書くべきこと】
- 現状分析(市場、競合、自社): なぜ今、このキャンペーンが必要なのか
- 課題と機会: 現状から見える課題と、それを解決するチャンス
- キャンペーンの目的(KGI): この企画を通じて最終的に達成したいゴール
【プロの着眼点】 ここでは客観的なデータを用いて「やるべき理由」を論理的に説明します。3C分析(市場・顧客/Customer、競合/Competitor、自社/Company)のようなフレームワークを活用すると、説得力が増します。単なる「売上が落ちているから」ではなく、「なぜ落ちているのか」「どこにチャンスがあるのか」まで踏み込むのがプロの仕事です。
【例文:企画背景と目的】
1. 現状分析
- 市場: 炭酸飲料市場は年率3%で成長しているが、健康志向の高まりから微糖・無糖カテゴリが特に伸長。(出典:〇〇総研「飲料市場レポート2025」)
- 競合: A社は人気アイドルを起用したCMで若年層シェアNo.1。B社はフルーツ系炭酸で定評があるが、SNS活用が弱い。
- 自社: 主力商品「トラディショナルソーダ」は30代以上の支持は厚いが、Z世代の認知度は15%と低迷。新商品「カラフルソーダ」は、若者受けするデザインと健康志向(微糖)が強み。 2. 課題と機会
- 課題: Z世代へのアプローチが弱く、将来の顧客基盤が脆弱。
- 機会: 競合B社が手薄なSNS領域で、ユーザー参加型の企画を実施すれば、Z世代のエンゲージメントを獲得し、一気に認知を拡大できる可能性がある。 3. キャンペーンの目的(KGI)
- 新商品「カラフルソーダ」の発売後3ヶ月(10/1~12/31)で、売上1,000万円を達成する。
- Z世代におけるブランド認知度を15%から30%に向上させる。
3. ターゲット(WHO)
【書くべきこと】
- デモグラフィック情報: 年齢、性別、居住地、職業など
- サイコグラフィック情報: 価値観、ライフスタイル、趣味嗜好
- 具体的な人物像(ペルソナ): ターゲットを象徴する一人の人物像
【プロの着眼点】 「20代女性」のような曖昧な設定はNGです。関係者全員が同じ人物を思い浮かべられるレベルまで具体的にペルソナを設定します。ペルソナが「どんなことに悩み」「普段どのSNSを見て」「何に心を動かされるのか」を解像度高く描くことで、施策の精度が格段に上がります。
【例文:ペルソナ設定】
名前: 佐藤 玲奈(さとう れな) 年齢: 21歳(大学3年生) 居住地: 東京都渋谷区 ライフスタイル:
- 大学の傍ら、カフェでアルバイト。友人との交流や「推し活」が生活の中心。
- InstagramとTikTokを毎日3時間以上利用。情報収集も友人とのコミュニケーションもSNSがメイン。
- 「映える」写真や動画を撮ることが好きで、話題のカフェやイベントには積極的に足を運ぶ。 インサイト(本音):
- 「みんなが投稿しているモノやコトは、とりあえずチェックしないと不安」
- 「ただカワイイだけじゃなく、ちょっと気の利いたストーリーのある商品が好き」
4. キャンペーンコンセプト(WHAT)
【書くべきこと】
- コンセプト: キャンペーンの中核となるアイデアを一言で
- キーメッセージ/キャッチコピー: ターゲットに伝える言葉
- キービジュアル: キャンペーンの世界観を象徴する画像
【プロの着眼点】 コンセプトは、企画の「へそ」です。企画背景(WHY)とターゲット(WHO)のインサイトを繋ぎ、「ターゲットが思わず参加したくなる、魅力的な提案」に昇華させることが重要です。このコンセプトが、広告、SNS投稿、イベントなど、すべてのクリエイティブの判断基準となります。
【例文:キャンペーンコンセプト】
コンセプト: 日常の「エモい」瞬間を、もっとカラフルに。 キーメッセージ: #〇〇な瞬間にカラフルソーダ 概要: 嬉しい瞬間、楽しい瞬間、ちょっと切ない瞬間など、ユーザーが感じる様々な「〇〇な瞬間」を「カラフルソーダ」と一緒にInstagramに投稿してもらうフォトコンテスト。優れた投稿には豪華景品をプレゼントし、参加のモチベーションを高める。
5. 具体的な施策内容(HOW)
【書くべきこと】
- 全体像(カスタマージャーニー): ターゲットがキャンペーンを認知し、参加・購買に至るまでの流れ
- 具体的なアクションプラン(5W1H): 誰が、いつ、どこで、何を、なぜ、どのように行うか
- クリエイティブの方向性
【プロの着眼点】 施策を単に羅列するのではなく、ターゲットの行動フロー(認知→興味・関心→比較・検討→購買→共有)に沿って、どの段階で、どの施策を、なぜ打つのかを設計します。これにより、施策同士が連動し、相乗効果を生み出します。
【例文:具体的なアクションプラン】
1. 認知・興味関心フェーズ(10月)
- 施策: 人気インフルエンサー(〇〇さん、△△さん)によるギフティング投稿
- 目的: ターゲット層への初期リーチとキャンペーンの話題化
- 内容: インフルエンサーが自身の「#〇〇な瞬間にカラフルソーダ」をテーマにした投稿を実施。キャンペーン参加を呼びかける。 2. 参加・拡散フェーズ(11月)
- 施策: Instagramフォトコンテスト本番
- 目的: UGC(ユーザー生成コンテンツ)の創出と、熱量の高いファンの育成
- 内容: 公式アカウントをフォロー&ハッシュタグ投稿で応募完了。優秀作品は公式サイトや広告で紹介。 3. 購買促進フェーズ(12月)
- 施策: 参加者限定のデジタルクーポン配布
- 目的: キャンペーン参加から実購買への転換
- 内容: 投稿者全員に、次回購入時に使える10%OFFクーポンをDMで送付。
6. 実施体制・スケジュール
【書くべきこと】
- 実施体制: 誰が何の役割を担うのかを明確化
- スケジュール(ガントチャート): 準備から実施、効果測定までのタスクと日程を可視化
【プロの着眼点】 「誰がやるか」が曖昧なプロジェクトは必ず頓挫します。特に他部署との連携が必要な場合は、RACIチャート(役割分担マトリクス)の考え方を用いて、役割を明確に合意形成しておくことがトラブル防止の鍵です。また、スケジュールは理想論ではなく、バッファ(予備期間)を設けた現実的な計画を立てましょう。
【例文:実施体制】
以下のように、各タスクにおける役割分担を明確にします。
- 企画立案
- 実行責任(R): マーケティング部
- 承認(A): マーケティング部長
- 報告先(I): 役員
- インフルエンサー選定・契約
- 実行責任(R): マーケティング部
- 承認(A): マーケティング部長
- 協業(C): 外部代理店
- SNSアカウント運用
- 実行責任(R): マーケティング部
- 報告先(I): マーケティング部長
- クーポンシステム開発
- 実行責任(R): IT部
- 承認(A): IT部長
- 協業(C): マーケティング部
- 報告先(I): マーケティング部長
- 景品発送
- 実行責任(R): 営業推進部
- 承認(A): 営業推進部長
- 報告先(I): マーケティング部
(R: Responsible/実行責任者, A: Accountable/説明責任者, C: Consulted/協業者, I: Informed/報告先)
7. 予算・費用対効果(HOW MUCH)
【書くべきこと】
- 予算の内訳: 広告費、制作費、インフルエンサー費、景品費、人件費、予備費など
- 費用対効果(ROI)の試算: 投下する費用に対して、どれだけのリターンが見込めるか
【プロの着眼点】 予算は可能な限り細分化し、算出根拠を明確にします。決裁者が最も気にするのは「その投資は、見合うだけの価値があるのか?」という点です。単純な短期ROIだけでなく、CPA(顧客獲得単価)やLTV(顧客生涯価値)といった長期的な視点も交えて、投資の妥当性を説明できると理想的です。
ROI(%)=投資額(売上増加額×利益率)−投資額×100
【例文:予算と費用対効果】
1. 予算内訳(合計:500万円)
- 広告費(SNS広告):200万円
- インフルエンサー費:150万円
- 景品・送料:50万円
- 制作費(LP、バナー):50万円
- 予備費:50万円 2. 費用対効果(ROI)
- 目標売上:1,000万円
- 商品利益率:40%と仮定 → 利益:400万円
- 短期ROI = (400万円 - 500万円) / 500万円 = -20%
【補足】 本キャンペーンの主目的は、短期的な直接利益の獲得ではありません。Z世代の認知度向上(15%→30%)と、将来の顧客基盤となるUGC(目標投稿数: 5,000件)という無形資産の獲得にあります。これにより、将来にわたるブランドへの関与を高め、LTV(顧客生涯価値)を向上させるための戦略的投資と位置づけます。
8. KPI・効果測定方法
【書くべきこと】
- KPI(重要業績評価指標): KGI(最終目標)達成のための中間指標
- 効果測定の方法とツール: 何を、どのように測定するのか
【プロの着眼点】 KGIが「売上」なら、KPIは「売上に繋がる、途中の行動」を指標にします。キャンペーンの「やりっぱなし」を防ぎ、PDCAサイクルを回すための重要な項目です。測定可能な数値を設定し、キャンペーン期間中も定点観測する体制を整えましょう。
【例文:KPIと効果測定】
【目的1:売上貢献】
- KGI: キャンペーン経由売上 1,000万円
- KPI:
- キャンペーンサイト経由の購入数:20,000個
- クーポン利用率:30%
- 測定方法: Google Analytics、自社販売データ
【目的2:認知度向上】
- KGI: Z世代における認知度を15%から30%へ向上
- KPI:
- SNSでのインプレッション数:500万
- ハッシュタグ投稿数:5,000件
- ブランド指名検索数:前月比150%
- 測定方法: 各SNS分析ツール、Google Trends、キャンペーン後の認知度アンケート調査
【目的3:エンゲージメント獲得】
- KGI: -
- KPI:
- いいね、コメント、保存数の合計:10万
- 公式アカウントのフォロワー増加数:1万人
- 測定方法: 各SNSインサイト
まとめ:最高の設計図で、キャンペーンを成功に導こう
本記事では、承認されるキャンペーン企画書の書き方を、テンプレートと具体的な例文を交えて解説しました。
- 大前提として、読み手とゴールを明確にする
- 8つの構成要素(テンプレート)に沿って、論理的に記述する
- プロの着眼点を取り入れ、説得力を高める
これらのポイントを押さえることで、あなたの企画書は単なるアイデアの羅列から、関係者を動かし、プロジェクトを成功に導く強力な「設計図」へと進化するはずです。
「企画の実行」フェーズでお困りではありませんか?
素晴らしい企画書が完成しても、それを実現するためのリソースやノウハウがなければ、キャンペーンは成功しません。
- 「企画はできたが、インフルエンサーや業者との調整が大変…」
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- 「もっと効果的な施策にするために、プロの意見が欲しい」
もし、あなたがこのような課題をお持ちでしたら、ぜひ一度、私たち株式会社REIGETSUにご相談ください。
REIGETSUは、数々の企業のキャンペーンを成功に導いてきたイベントプロデュースの専門家集団です。私たちは、挑戦する企業と共に、感動と熱狂の渦を創り出すことをミッションとしています。
今回の記事でご紹介したような戦略的な企画立案はもちろんのこと、その後の具体的な施策の実行、クリエイティブ制作、複雑な進行管理、そして効果測定まで、ワンストップでサポートいたします。
貴社のチームの一員として、キャンペーンの成功に向けて全力で伴走します。まずは「企画の壁打ちがしたい」「少しだけ話を聞いてみたい」といった、小さなご相談からでも大歓迎です。お気軽にお問い合わせください。



ライター 藤花しおん
金融、美容、旅行、グルメなど多分野で執筆。2016年からエンタメ系オウンドメディアに編集者として従事。